いちじくは寒さに弱い果物で、静岡や和歌山、愛知などで主に生産されており、旬は夏から秋にかけてです。外観は地味で、あまりおいしそうに見えない割に、口にほおばると何とも言えない甘ずっぱさとプチプチ感がたまらく、ついつい手が止まらなくなってしまいます。
いちじくを半分にするとあらわれるつぶつぶの赤い・このプチプチ食感の正体は、実はいちじくの花だったのです。外観からは花が見えないまま実がなるので、「無花果(むかか)」と記されています。
いちじくは生だけでなく、ジャムや缶詰、ドライフルーツなどで美味しく食べられていますね。いちじくは古代エジプトの壁画にブドウとともに描かれ、旧約聖書にも数多く登場する、昔から親しまれている深い歴史をもつ果物です。
今回はいちじくの知られざる効果について紹介します。
いちじくで便通による肌荒れ改善効果
いちじくにはペクチンという水に溶ける性質の水溶性食物繊維が多く含まれています。この水溶性食物繊維は腸内細菌の発酵を受けやすく、乳酸菌などの有益菌を増やして腸内環境を改善します。このような腸内細菌叢の改善により、整腸作用に有意に働きかけて下痢や便秘などを予防します。
便秘により肌荒れの改善に効果的なほか、腸内の善玉菌による美肌効果も期待できますね。便秘でお困りの際は、いちじくを1日2~3個召し上がるのが目安です。
また、ペクチンによる脂質異常症や糖尿病の予防効果があります。水溶性食物繊維のペクチンは、胆汁酸の吸収を抑える効果があるため、悪玉コレステロールや糖質の腸内からの吸収を妨げ、血清コレステロールや急激な血糖の上昇を抑える作用があるので、脂質異常症や糖尿病の予防効果が期待できます。
いちじくで高血圧予防効果
いちじくにはミネラルの一種であるカリウムも多く含まれています。カリウムには、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、体内の余分な水分を尿への排泄に促す働きがあることから、血圧を下げる作用があるため、高血圧予防に有効と考えられています。
また、カリウムと便秘解消の相乗効果で、むくみの予防や改善に効果的です。
いちじくのカルシウム・鉄分で健康な骨と貧血をサポート
果物類の中では、いちじくにはカルシウムと鉄分が比較的多めに含まれています。カルシウムは骨や歯を形成するほか、血液や筋肉、すべての細胞に分布しています。細胞や筋肉、神経の働きをサポートしています。
そして鉄分は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンというたんぱく質構成成分を担っています。また、エネルギー代謝に使われる酵素の構成成分にも含まれています。
いちじくの強い抗酸化作用でアンチエイジング効果
いちじくには、さらにポリフェノールの仲間、アントシアニンやザクロエラグ酸という強い抗酸化作用をもつ成分が含まれています。アントシアニンは活性酸素を抑制し、さらには動脈硬化や糖尿病などといった生活習慣病を防ぐ効果もあります。
アントシアニンには目の網膜に働き、目の疲れをやわらげたり、視力回復の効果は有名ですね。そしてザクロエラグ酸にはメラニン色素を抑えると期待され、しわやしみなど肌の老化予防効果もあります。
たんぱく質分解酵素フィシンによる胃の健康効果
キウイフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素のフィシン、実はいちじくにも多く含まれています。
たんぱく質を消化しやすいように分解する働きがあるので、胃の負担を軽減し、胃もたれや二日酔い、ひいては胃の炎症を予防します。
また、消化酵素であるアミラーゼやリパーゼなども含むため、脂質や炭水化物の消化をも促します。
塗布薬としてのいちじく効果
江戸時代に、中国から長崎に運ばれたいちじく。当初は薬用として栽培されていたそうです。いちじくの根元を折ると、そこから粘り気のある白い液体が出てきます。
この液体には、皮膚や筋肉をやわらげたり、なめらかにする効果があり、手足の荒れやひじやかかとの角質化して硬くなったところに、このいちじくの汁を塗るのがおススメです。
ウオノメやタコにも2週間塗り続けると効果があらわれたり、水虫にも日に数回塗布し、根気よく持続することで症状が改善することができます。さらには痔の患部にも効果的です。なかには触れるとかぶれる方もいるので、注意が必要です。
さて、今回はアンチエイジングから薬効効果まで!いちじくの6つの栄養効果について紹介しましたがいかがでしたか。
いろいろな効能をもついちじくですが、近年、いちじくの果汁から抽出される抗がん物質「ベストアルデヒド」が、がん細胞の抑制に効果が期待されており、研究されています。
薬効として日本に運ばれたいちじく、今後の研究の動向がとても気になるところですね。
アンチエイジングから薬効効果まで!いちじくの6つの栄養効果
- いちじくで便通による肌荒れ改善効果
- いちじくで高血圧予防効果
- いちじくのカルシウム・鉄分で健康な骨と貧血をサポート
- いちじくの強い抗酸化作用でアンチエイジング効果
- たんぱく質分解酵素フィシンによる胃の健康効果
- 塗布薬としてのいちじく効果