「化学肥料」という言葉。一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?農家の人や、農業の経験をしたことがある人は使ったことがあるかもしれません。
野菜や果物を育てるために化学肥料を蒔いて、育ちを良くしたりたくさん実らせたりすることが出来ます。一方で、それらの化学肥料は危険だという意見も聞くことが多く、価格は高くても安全だから無農薬の物を購入するといった人もいることでしょう。
しかし、言葉は聞いたことがあっても、実際にそれがどんな物なのか、どんな危険性があるのか、本当に危険なことだけなのかという細かいことまでは知らない人が多いはずです。気にはしているけど、なんとなく言葉のニュアンスで食材を選んでいたりするのではないでしょうか?
今夏は化学肥料が危険であるかどうか、どんな危険があるのかなどなど、知っておきたいことを5つに分けて紹介していきます。是非今後の参考にしてみてください。
化学肥料とは一体何のこと?
そもそも化学肥料とは一体どういったものをさすのでしょうか?簡単に説明すると言葉通り、化学的な方法により作られた肥料のことを化学肥料といいます。
例えば、即効性の高い化学肥料であれば窒素肥料や、リン酸肥料といったものから、緩効性のものまで様々あります。
特に化学肥料を使う理由としては、農業などをする際に化学肥料を用いない場合、土から栄養分を吸ってしまうので発育が悪くなってしまうため、それを補うために使われてきました。特に重要な化学肥料には窒素やリン酸、カリが含まれるもので、これらを3大要素ともいいます。
また、化学肥料は分類することも出来、3大要素のうち、ひとつしか含まない物を単肥、二つ以上を含む物を複合肥料と呼んでいます。さらに複合肥料は化成肥料と配合肥料に分けることも出来ます。
化学肥料は危険なのか?メリットとデメリットは?
化学肥料が何かについて紹介してきましたが、実際に育ちを良くするためには化学肥料があった方がいい場合もあります。そこで、メリットとデメリットについて紹介しておきます。
化学肥料のメリット
- 即効性があり生産量がアップする
- 生産量がアップするために収益の見込みがある
- 育ちがよく見た目も良い農作物を育てることが出来る
化学肥料のデメリット
- 環境を汚染してしまう恐れがある
- 発がん性の影響
- 化学肥料を作るために資源が枯渇してしまう
- 栄養を蓄える分、一緒に水分も吸収するので味が薄まってしまうことがある
特に人体に関わるところで気になるといえば発がん性の影響といったところでしょうか。確かにいい面もありますが、化学肥料には危険だと感じてしまう部分もいくつかあるのが事実なのです。
本当に化学肥料は危険なのか?!
上で、化学肥料のメリットとデメリットを紹介しましたが、発がん性と聞くと確かに危険だと思ってしまいます。しかし、化学肥料を使っている物を食べたからといって必ずしも危険だという心配はまずないのです。
というのも、化学肥料は土壌からの栄養分をより吸収し、育ちを良くするために補う為に使われているので、化学肥料を使っていても使っていなくても、土から吸収する養分などは変わらないからということ。ですから、他の成分が混ざってしまうというわけではないので、化学肥料を使った野菜や果物を食べても、発がん性に繋がるということではないといえるのです。
なぜ化学肥料が危険だといわれてしまうのか?
野菜や果物が土から吸収する養分は同じのはずだから食べても安全。しかし、なぜ化学肥料は危険だという認識があるのか。その答えは、食べ物にあるのではなく、その環境にあるのです。
デメリットでも紹介したように、化学肥料を使うと、環境汚染に繋がってしまいます。というのも、化学肥料とは水に溶けやすい性質を持っているため、農作物に蒔いた化学肥料の半分程度は地下水などに流れてしまい、環境を汚染してしまっているのです。
特に注目しておきたいのが硝酸態窒素です。3大要素である窒素は農作物の生育には欠かすことが出来ない養分なのですが、ほどんどの農作物は硝酸態窒素として吸収するのです。というより、これを吸収しないと農作物は育つのが難しいというわけです。
これは普段食べている農作物にももちろん入っています。だったら発がん性に繋がるのでは?と思うかもしれませんが、それは、大量に身体に吸収された場合なのです。農作物が大量に吸収していたり、吸収されなかった硝酸態窒素が土壌に大量に残っておりそれらが唾液と反応すると亜硝酸態窒素という物に変化し、人体に影響を及ぼすから危険だということです。
実際にどんな危険があるのか?
硝酸態窒素を大量に取り込んでしまうと亜硝酸態窒素に変換されます。これは、血中のヘモグロビンと結びつくことでヘモグロビンが身体中に酸素を運搬することが出来なくなるため酸欠状態になってしまう危険があるのです。
特に注意したいのは乳児です。ブルーベビー症候群という病気を招くことがあります。胃のpHが中性に近い乳児は硝酸態窒素を大量に摂取すると酸素を供給できなくなり、顔が真っ青になってしまう状態で、最悪は亡くなってしまうケースもあるということです。
また、大人の場合はpHは酸性に保たれている物の、母親が硝酸態窒素を大量に摂取した農作物を食べたり、それを食べて育った牛の乳などを飲んでしまうと、母乳を介して乳児に影響を与え、メトヘモグロビン血症という酸欠状態を起こしてしまうのです。
その他にも発がん性のあるニトロソアミンなどにも気をつけなければいけません。
これだけ聞くとやはり危険だと感じますが、なんらかがきっかけで大量に摂取してしまった場合に起こりうるということですので、気をつけることは大切ですがあまり気にしすぎてせっかくのおいしい農作物を食べないというのももったいないものですね。
最近では自然栽培や自然農法などの化学肥料、農薬、堆肥を使わないやり方が注目を浴びています。
さて、今回は農産物を育てるために使う化学肥料は危険なのか?!知りたいこと5選!についてお話ししましたがいかがでしたか。
確かに、化学肥料にはいいことも悪いこともあるようです。危険が潜んでいることもお分かりになったかと思います。しかし、そればかりにとらわれていると野菜や果物に含まれる魅力的な栄養素まで摂ることが出来なくなってしまうので、農作物と上手に付き合っていきましょう。
農産物を育てるために使う化学肥料は危険なのか?!知りたいこと5選!
- 化学肥料とは一体何のこと?
- 化学肥料は危険なのか?メリットとデメリットは?
- 本当に化学肥料は危険なのか?!
- なぜ化学肥料が危険だといわれてしまうのか?
- 実際にどんな危険があるのか?