お殿様の体を丈夫にしてくれた「辛子蓮根」の気になる５つの効能

ゆでた蓮根の穴に黄色のからしみそをふんだんに詰め、白と黄色のコントラストが目を引く辛子蓮根は、熊本の郷土料理です。シャキッとした蓮根の噛み応えの快感とピリッとくる辛さを想像すると食欲がそそられます。

辛子蓮根の始まりは、約380年前の江戸時代にさかのぼります。肥後細川藩主、分かりやすく言うと「熊本のお殿様」が病弱な体に対する滋養食として食べ始め、明治に入ってから一般に出回るようになりました。ちなみに辛子蓮根を常食したおかげで、お殿様の体は丈夫になったと言われています。

お殿様の体を丈夫にしたと言い伝えられる、辛子蓮根の効能を紹介しますが、辛子蓮根の主体はもちろん蓮根です。なので、通常の蓮根を食べたときとほぼ同じ効果が得られると考えて良いです。ただ、通常の蓮根と異なるのは、辛子の成分もあることです。しかし、主体はあくまでも蓮根なので、からしの栄養成分はプラスアルファ程度に考えましょうね。

ビタミンCが豊富！辛子蓮根でアンチエイジング

ビタミンCは抗酸化作用が強い栄養成分として有名です。体内の代謝をよくする、つまり生きているだけで日々傷つき老化が進む細胞への修復作用の好循環をもたらしてくれます。細胞からできる肌も再生されるなどアンチエイジング効果を期待できます。辛子蓮根にはビタミンCが豊富に含まれております。ビタミンC入りの代表的な果物、レモンの3分の2程度に豊富さが匹敵するぐらいの量です。

なお、ビタミンCは熱に弱いものですが、辛子蓮根にはビタミンCを熱から守る栄養成分があるので、加熱しても消失しにくいです。生食にするべきか加熱かを気にせず料理に使えますね。

便通を改善！辛子蓮根で食物繊維を摂ろう

辛子蓮根には不溶性食物繊維が含まれています。胃にたまった余分なものを体外に排出するための胃の運動を促してくれます。不溶性食物繊維は名前で分かる通り、水に溶けにくい繊維で、胃の水分を吸収してくれます。水分を吸収した便が大きくなることで、胃の運動が活発化され、排出しやすくなるのです。

また、辛子蓮根などの不溶性食物繊維を多く含む食品は噛みごたえがあるので、満腹感を早く得やすく、ダイエット効果も期待できるとも言われています。

胃の粘膜を補強！辛子蓮根で免疫力を高める

蓮根を切ると糸を引きますね。このネバネバ成分は辛子蓮根の他にも、納豆やオクラなどのネバネバ成分と同じものが含まれています。

ネバネバ成分には胃の粘膜を保護する働きがあります。我々の生活はストレスと切り離せないものですが、胃の粘膜はストレスに影響されると働きが弱まり、胃炎につながります。ネバネバ成分を摂ると弱まった粘膜が補強され、胃炎にかかりにくくなるのです。また、ネバネバ成分はウイルスの侵入を防ぐ作用があるので、ウイルス性のインフルエンザや風邪も予防できるぐらいの免疫力をもたらしてくれます。

止まらない鼻血対策を辛子蓮根で

蓮根を切ると、切り口が赤黒く変色することがありますが、これはタンニンという成分の影響によるものです。タンニンには、炎症を抑えたり血を止める作用があり、胃潰瘍防止や鼻血その他出血を止血するよう働きます。

また、辛子蓮根には赤血球の合成に大きく関わるビタミンＢ12があります。ビタミンＢ12が不足すると、赤血球の細胞分裂の頻度が減り、赤血球が巨大化して酸素を含む血流の流れが滞ります。これが貧血状態ですが、この貧血を防止する効果もあるのです。

夏バテしそうな夏も食欲増進！プラスアルファ栄養成分

蓮根の穴に詰められているからしみそにも栄養成分があります。からしに含まれているアリルイソチオシアネートは、辛味成分で胃を刺激したり、唾液の分泌に働きかけます。

胃の刺激によって、食欲が出てくるのです。ただし、先述の通り主体は蓮根なので、からしみその栄養成分に関しては、量的に見てプラスアルファ程度の栄養成分が摂れると認識するのが良いですよ。

おまけ：辛子蓮根の作られ方

蓮根の中にどうやってからしみそを詰めているのか。文字だけで説明する分には、作り方はシンプルです。からしみその山を用意し、ゆでた蓮根を持って、からしみその山に押し付けて蓮根の穴にからしみそを入り込ませます。

ちなみに熊本県には辛子蓮根づくりの体験ができる老舗があるので、興味と機会があったら覗いてみてはいかがでしょうか。

さて、今回はお殿様の体を丈夫にしてくれた「辛子蓮根」の気になる５つの効能について紹介しましたがいかがでしたか。
熊本のお殿様がかつて食べ続けていた辛子蓮根ですが、明治に入る前は見た目が殿様の家紋に似ていることから門外不出だったようです。滋養に効くのみならず、アンチエイジングなど美容面にも効果がある辛子蓮根が出回るようになったのは嬉しいことですね。